カテゴリー  [名誉毀損について ]

12月9日付 日経の名誉毀損の記事について 

読者の諸行さんにこの記事とそれについてのブログの存在を聞き、読んでみた。

まずはこちらをお読みください↓

愉快痛快(^_^)奇奇怪怪(*_*;)
2007-12-14
■ブログの辛口評価は事実でも名誉毀損



まず、テレビや雑誌のレビューが甘口になりがちなのは、名誉毀損になるからと言うよりも、それ以前に、お店に頼み込んで取材させてもらうという飲食店との関係上(しがらみ)、辛口な記事など書けるはずがありません。僕だって雑誌の編集者だとしたら辛口など書けません^^;そんなことしたら仕事がなくなります。一般のお客としての立場だからこそ何のしがらみもなく自由に書けるわけです。

そしてこの日経の記事ですが非常に中途半端。なぜならこの主婦が書いたという辛口ブログの具体的な文章が記載されていないから。これを読んだら、このブログ主と同様、「まずい」とブログで書いただけで名誉毀損になってしまうと勘違いしてしまう人が出てくる恐れがある。表現の自由にとって萎縮効果ほど怖いものはありません。


皆さんに言いたいのは、このブログ主が言っている「まずい」とか映画を観て「つまらない」と書いただけで名誉毀損になるなんてことはないはずだということです。

刑法230条の名誉毀損罪の条文は「公然と事実を摘示し人(法人)の名誉を毀損した者はその事実の有無を問わず3年以下の懲役に処す」とあり、 「事実を摘示」しなければそもそも構成要件に該当しない。その「事実」とは判例にあるように、「単なる人の意見・判断ではなく、真実性の証明に適するような具体的事実」である。つまり、単なる個人の感想に過ぎない「まずい」とか「つまらない」などは「事実」ではないから そもそも刑法の名誉毀損罪には引っかからないと思います。

ですから、この日経の記事が言いたいのは、「まずい」と書いたから名誉毀損に該当するということではなく、「まずい」など料理や接客に関することなどの主観的要素が強い事項は、230条の2の第1項の公益性の要件を欠くため、名誉毀損に該当する可能性があるということだと思います。侮辱罪(231条)については「事実の摘示」はなくても成立しますが、よっぽどめちゃくちゃなことを書かない限りそんなに心配することはないでしょう。


ただ、ランディが思うに、主観的要素が強い事項については、そもそも社会的評価を害しているとは言えないんじゃないか?と思うのです。つまり料理への批評がお店にとってよくない論評であったとしても、それはその本人固有の嗜好や感性の問題であることは明らかなのに、社会的な評価を害することといえるのでしょうか?

同じ料理を食べてうまいと思う人もいればまずいと思う人もいる。味覚や感じ方は人それぞれ。
こんなの常識です。あの元志摩観光ホテルの高橋料理長だって「100人がおいしいと言う料理は作りたくない」と言ってますしね。接客についても同様に、そっけないサービスが好きな人もいれば、それを悪いサービスと評価する人もいる。

どっちにしろ、この主婦は単に「まずい」と書いただけではないはずなので、実際の文章がランディは見たいわけですよ。それがないと検証も出来ない。刑法と違い、民法の損賠訴訟では結局最後は裁判官の心証でどんな判決にもなりうるので、理屈よりも文章全体の印象が勝敗を決する場合もありますからね。この弁護士が言いたいことだってよく見えてきません。


話を変えて、この日経の記事にもあるように、食材についての論評、衛生面の論評、異物が混入していたなどは、公益性がある事実なので、名誉毀損罪の適用が除外となる可能性が高いです。
ただしその事実の存在の証明責任が記事を書く側にあることも忘れてはいけません。
これは民法上の損害賠償訴訟(709条)でも同様です。



最後に、何度も言っていることですが、まともな飲食店なら、どんな批判でも真摯に受け止め
お店の改善に生かせばいいのです。そのお客がそう感じたことは事実なんですから。
それに真摯に取り組んでいるお店を1ブロガーに何か言われたぐらいでお客が見捨てるはずなどありません。
それにどうしても我慢できないことがあれば、どこかの団体みたいにいきなり「訴えるぞ!」と脅しめいたことなどしないで、言いたいことがあれば正々堂々と、ブログ上で対峙すればいい。

もちろん誹謗中傷は論外ですよ。何も入っていなかったのに「ゴキブリが入っていた」などとブログに書いたら、逮捕されてもしょうがないと思ってください^^。


それでも怖いからお店への批判や文句を書くのは控えることにするという人がいればそれはそれでいいです。その人の人生ですから。
でも無駄に萎縮して言いたいことも言えないって嫌じゃないですか?
人間らしくないというか、生きてる感じがしない。そんな萎縮したブログは読んでる方もつまらないと思います。

それにお店にしたって、ブログで批判してくれたことを参考にして売り上げがアップすることだってある。単にほめるばかりのブログよりもきちんと批判してくれるブログの方が何倍も貴重だってこともあるわけです。このことは商品開発や実際の評判のリサーチに企業がブロガーを使うことが増えてきたことでも証明されています。

結局、飲食業界ってまだ批判というものに慣れてないんですよ。前述したとおり、主な媒体であるテレビや雑誌は決して今まで批判はしてこなかったですからね。ところがネットの普及で個人による批判に急に晒されて、拒否反応を起こしているというところでしょうか。。




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